[上級者ガイド] Leechの仕様と計算式を知ろう

Path of Exileには複雑な計算式がいくつかあります。

全ての計算式を把握する必要はありませんが、特にLeech(以下、リーチ)メカニクスは多くのビルドで採用されるため知っておいて損はないと思います。

既にリーチを使ったビルドをプレイしているのであれば、効率よくリーチするためにどこを改善すれば良いのかを見つけるためのヒントにもなるでしょう。

 

※記事長め、文章量多めです。ご注意ください。

 


リーチインスタンスとインスタンスキャップ

 

※LifeもManaもESも計算方法自体は同じであるため、今回は全てLifeにおけるリーチという前提で進めていきます。

 

まず、リーチをするためには

#% of Damage Leeched as Life

という効果をパッシブツリー、ジェム、カース、装備品のどれかで獲得しなければなりません。

 

 

上のパッシブノードは”Attack Damage”に限定されていますが、パッシブツリーでお手軽に獲得できるためよく採用されています。

リーチは「敵に与えたダメージのうち何%かをLifeとして回復する」という効果であるため、リーチを利用することで直接的に火力が増えるわけではありません。

 

 

さて、この効果を得た状態で敵に攻撃をHitさせると、リーチをするためのリーチインスタンスがゲーム内部で生成されます。

つまり、Scorching RayのようなHitが発生しない攻撃ではリーチメカニクスを利用することはできません。

では例題として、次のような条件で敵に1Hitさせたケースの計算をしてみましょう。

  • キャラクターの最大Lifeは7,000
  • Hitによって敵に与えるダメージは35,000
  • 2% of Damage Leeched as Life」を得ている

 

35,000 [ダメージ] × 0.02 [リーチ率] = 700 [総リーチ量]

 

となり、700Lifeをリーチするリーチインスタンスが生成されます。

リーチの仕様として注意しておきたいのは、700Lifeを瞬間的に回復してくれるわけではなく、時間をかけて回復するという点です。

1つのリーチインスタンスが秒間に回復させられるスピードの上限(インスタンスキャップ)は、キャラクターの持つ最大Lifeの2%です。

 

7,000 [Life] × 0.02 [インスタンスキャップ] = 140 [Life/秒]

 

つまり、秒間140Lifeずつ回復していき700Lifeを回復しきるまでに5秒かかります。

 

700 [総リーチ量] ÷ 140 [Life/秒] = 5 [秒]

 

「リーチしきるまでに5秒かかる」というのは、見方を変えれば「リーチが5秒間持続する」とも言えます。

 

インスタンスキャップの2%という数値を直接増加させる手段は存在しませんが、リーチスピードを速くする方法は4つあります。

1つ目は、最大Lifeを増やすこと。(上の計算式から分かると思うので説明は割愛します。)

2つ目は、「#% increased Life Leeched per second」を得る方法です。

先ほどと同じスクショになりますが、下段の方の効果がこれに当たります。

 

 

  • 50% increased Life Leeched per second」を得ている

この条件を例題に加えると計算式は、

 

7,000 [Life] × 0.02 [インスタンスキャップ] × (1 + 0.5) [Leeched per Second] = 210 [Life/秒]

 

となり、秒間210LifeをLeechによって回復できるようになります。

#% increased Life Leeched per second」の優れている点は、この効果によってリーチスピードが上昇してもリーチ持続時間は短くならないことです。

つまり上の例で言うなら、「50% increased Life Leeched per second」によってリーチスピードが速くなっても5秒間持続します。

 

X 700 ÷ 210 = 3.333…. [秒間持続]

○ 700 ÷ 140 = 5 [秒間持続]

 

 

そして、3つ目は「#% increased Life Recovery rate」を得る方法です。

装備品、ジュエル、Pantheon、アセンダンシーノードで獲得できます。

 

 

2つ目の「#% increased Life Leeched per second」と同じように計算されるため、リーチスピードが上昇しつつ持続時間は据え置きのままです。

 

  • 20% increased Life Recovery rate」を得ている

この条件を例題に加えると下の計算式になります。

 

7,000 [Life] × 0.02 [インスタンスキャップ] × (1 + 0.5) [Leeched per Second] × (1 + 0.2) [Life Recovery Rate] = 252 [Life/秒]

 

秒間252Lifeを1つのリーチインスタンスで回復できるまでになりました。

 

 

最後の4つ目はVaal Pactノードを習得する方法ですが、これについては後述。

 


リーチインスタンスの増え方とリーチキャップ

 

ここまでは1つのリーチインスタンスに焦点を当てて進めてきましたが、実際の戦闘ではいくつものリーチインスタンスが生成されます。

具体的には、同一の対象に対していくつものHitを発生させれば、Hitと同じ数だけのリーチインスタンスが生成されます。

また、EarthquakeやReaveのような範囲攻撃スキルを用いれば、複数の敵に対してほぼ同時にHitを発生させることができるため、瞬間的に大量のリーチインスタンスを生成できます。

そして、リーチインスタンスは同時に何個でも存在することができます。

 

では、先ほどの条件を引き継いで計算していきましょう。

10体のモンスターパックの各々に対して瞬間的に2Hitさせたとしましょう。

すると、700Lifeをリーチするリーチインスタンスが20個生成されますね。

それぞれのリーチインスタンスは秒間252Lifeを回復してくれるため、

 

252 [Life/秒] × 20 [リーチインスタンス数] = 5,040 [Life/秒]

 

合計すると秒間5,040Lifeを回復してくれる計算になりますが、ここにもキャップが存在します。

それが、リーチキャップと呼ばれるものです。

リーチインスタンスが何個存在していようとも、リーチキャップの上限を越えて回復することはできません。

リーチキャップはプレイヤーの最大Lifeの20%に設定されています。

 

7,000 [Life] × 0.2 [リーチキャップ] = 1,400 [Life/秒]

 

つまり、リーチインスタンスが20個あろうとも、秒間1,400Lifeまでしか回復しないのです。(余剰分の回復量は消滅する。)

 

このリーチキャップの数値を増加させる方法は2つあります。

1つ目は、

+#% of maximum Life per second to maximum Life Leech rate

という効果をパッシブツリーと装備品(アミュレットのElder mod)で得る方法です。

 

 

上のスクショのように+3%となっているのであれば、デフォルトである20%に3%を加算する計算となります。

  • +3% of maximum Life per second to maximum Life Leech rate」を得ている

この条件を例題に追加してみましょう。

 

7,000 [Life] × (0.2 + 0.03) [リーチキャップ] = 1,610 [Life/秒]

 

リーチインスタンスが十分にあるなら、秒間1,610Lifeまでリーチできるようになります。

 

 

2つ目は、「#% increased Life Recovery rate」を得る方法です。

インスタンスキャップの際にも出てきましたが、装備品、ジュエル、Pantheon、アセンダンシーノードで獲得できます。

 

 

インスタンスキャップの際に出てきた

  • 20% increased Life Recovery rate」を得ている

これをそのまま引っ張ってくると例題の計算式は、

 

7,000 [Life] × (0.2 + 0.03) [リーチキャップ] × (1 + 0.2) [Life Recovery Rate] = 1,932 [Life/秒]

 

となります。

(Life Recovery Rateはインスタンスキャップとリーチキャップのどちらにも影響するためとても強い効果と言えます。

余談になりますが、マップmodに「less Recovery Rate of Life and Energy Shield」が付いた時にLifeとESのリーチスピードが著しく低下するのはこれが原因です。)

 

 

リーチインスタンスは秒間252Lifeを回復するため、

 

1,932 [リーチキャップのLife/秒] ÷ 252 [インスタンスキャップのLife/秒] = 7.666…. [個]

 

となり、リーチインスタンスが同時に8個もあればリーチキャップに引っかかることが分かります。

 


Vaal Pactの効果

 

Vaal Pactはパッシブノードの1つで、Lifeリジェネがなくなるデメリットを負う代わりに

#% increased Life Leeched per second

+#% of maximum Life per second to maximum Life Leech rate

この2つを2倍にしてくれる効果です。

 

 

Vaal Pactを習得した場合の計算式も見てみましょう。

まず、1つのリーチインスタンスにおけるリーチ速度は、

 

7,000 [Life] × 0.02 [インスタンスキャップ] × (1 + 0.5) [Leeched per Second] × (1 + 0.2) [Life Recovery Rate] × 2 [Vaal Pact] = 504 [Life/秒]

 

というように、秒間504Lifeを回復するようになります。

リーチキャップの方は、

 

7,000 [Life] × (0.2 + 0.03) [リーチキャップ] × (1 + 0.2) [Life Recovery Rate] × 2 [Vaal Pact] = 3,864 [Life/秒]

 

秒間3,864Lifeまで回復するようになります。

どちらも2倍となるため、リーチキャップに引っかかるまでのリーチインスタンスの数は変化しません。

 

3,864 [リーチキャップのLife/秒] ÷ 504 [インスタンスキャップのLife/秒] = 7.666…. [個]

 


リーチインスタンスの消滅

 

リーチインスタンスが消滅するタイミングは2つあります。

  • リーチインスタンスの持続時間を過ぎる
  • 最大Lifeまで回復する

 

リーチインスタンスの持続時間はそれぞれのリーチインスタンスによって異なります。

つまり、持続時間を過ぎたリーチインスタンスが個々に消滅していきます。

 

一方で、最大Lifeまで回復すると全てのリーチインスタンスが一斉に消滅します。

 


オーバーリーチの効果

 

リーチの話をする上では、昨今注目されているオーバーリーチ(overleech)についても触れておく必要があると思います。

オーバーリーチとは、先ほど出てきた

最大Lifeまで回復すると全てのリーチインスタンスが一斉に消滅する

これがなくなる効果です。

 

オーバーリーチを得るには、SlayerのアセンダンシーノードであるBrutal Fervourを習得するか、

 

 

 

AscendantのアセンダンシーノードにあるSlayeノータブルを習得する必要があります。

 

 

オーバーリーチの強さは、その文言からでは分かりづらいかもしれません。

 

Manaに関しては(そもそもManaにオーバーリーチは存在しませんが)オーバーリーチがなくともリーチが上手く機能してくれます。

例えば、スキル使用によってManaが減るものの、使用したスキルを敵に当ててリーチすることでManaを回復できて次のスキルを使用していける・・・

という具合にサイクルしてくれます。

 

ところが、Lifeの方はオーバーリーチなしでは少し弱点を抱えています。

実際の戦闘おいて被弾してLifeを減らされた場合には、続けて被弾して死亡するリスクを避けるために移動回避を行わなければなりません。

棒立ち状態で戦い続けてもなんとかなるケースもありますが、ゲームが終盤になればなるほど移動回避を求められる難易度になっていきます。

言い換えるなら、リーチによってLifeを回復したいタイミングで回避行動をとらなければならない状況が出来上がってしまうわけです。

そして、移動回避をしたからと言って次の敵の攻撃を100%回避できる保証もありません。

つまり、Lifeが減らされている状態はLifeが100%ある時に比べてリスクを負った状態であり、本来のDPSを出せない状況でリーチインスタンスを1から生成していかなければならない事が分かると思います。

 

オーバーリーチがあれば、Lifeが減る前の段階でリーチインスタンスを生成しスタックさせておけます。

(もちろん、Lifeが100%に達していてもリーチインスタンスの持続時間は経過していきます。)

そのため、被弾して移動回避し続けるケースであっても被弾直後からリーチキャップの速度でLifeが回復してくれます。

 

以前にRedditへ投稿されていたオーバーリーチの強さがよく分かる動画へのリンクを貼っておきます。

補足しておくと、動画のビルドはリーチキャップを99%(一時的に133%)まで増加させています。

 


インスタントリーチ

 

リーチは時間をかけて回復するものでしたが、中にはインスタント(瞬間的に)リーチできるようになる効果があります。

現在のPoE3.4環境では、インスタントリーチを実現できるのはBloodseekerというアイテムだけです。

 

 

インスタントリーチの計算式は特に深く考える必要はありません。

例題の条件で計算するなら、

 

35,000 [ダメージ] × 0.02 [リーチ率] = 700 [総リーチ量]

 

この総リーチ量である700Lifeが即座に回復します。

 

インスタンスキャップもリーチキャップも関係なくなりますが、

#% increased Life Leeched per second

#% increased Life Recovery rate

このどちらを用いてもリーチ量を増やすことはできません。

そのため、インスタントリーチ量を増やすには火力を増加させるか、

#% of Damage Leeched as Life

を稼ぐのが効率的です。

 

インスタントリーチは確かに強い効果ですが、移動回避中にリーチできないという欠点はそのままです。

そのため、1Shotで即死しないだけの防御を確保しつつ、フェイスタンクしながら攻撃し続ける運用をされる事が多いです。

 


リーチを活用したビルドの実例

 

この手の話は実例も交えた方が理解しやすいと思います。

最後に、某Alkaizerのビルドをお借りして、彼のキャラクターにどの程度のリーチが発生しているのかを見ていきます。

 

 

 

このビルドにおいて、習得しているリーチ関連パッシブノードは下の緑で囲った3ヶ所です。

Vaal Pactとオーバーリーチを持っているのが特徴ですね。

 

 

 

PoBで見ると、ShaperやUber Elderを相手に1Hitあたり平均62,568ダメージを与えられる計算になります。

(※実際にはクリティカルと非クリティカルでダメージの幅がとても大きいのですが、計算がややこしくなるため平均ダメージを用いることにします。)

 

 

 

下のスクショの赤枠で囲ったところから、このビルドでは、

2% of Attack Damage Leeched as Life

3.4% of Physical Attack Damage Leeched as Life

を得ていることが分かります。

 

 

では、計算してみましょう。

このビルドが与えるダメージはおよそ半分がPhysicalダメージです。

 

 

1Hitで生成されるリーチインスタンスの回復量を求めてみます。

 

62,568 [Attackダメージ] × 0.02 [リーチ率] = 1,251 [リーチ量]

62,568 [Attackダメージ] × 0.49 [Physicalダメージの割合] × 0.034 [リーチ率] = 1,042 [リーチ量]

 

両方を足した2,293Lifeを回復するリーチインスタンスが生成されます。

このビルドの最大Lifeは10,354であるため

 

10,354 [Life] × 0.02 [インスタンスキャップ] = 207 [Life/秒]

2,293 [総リーチ量] ÷ 207 [Life/秒] = 11.077… [秒]

 

11秒間リーチインスタンスが持続することが分かります。

 

 

次に、1つのリーチインスタンスにおけるリーチスピードを求めてみましょう。

このビルドではパッシブツリーから

60% increased Life Leeched per second

を得ており、Vaal Pactも習得しています。

また、装備しているElderベルトから

20% increased Life Recovery rate

も得ています。

 

 

というわけで計算式の方は、

 

207 [Life/秒] × (1 + 0.6) [Leeched per Second] × (1 + 0.2) [Life Recovery Rate] × 2 [Vaal Pact] = 794 [Life/秒]

 

となり、1つのリーチインスタンスにおけるリーチスピードは秒間794Lifeとなります。

ちなみに、先ほど赤枠を書いたPoB画像の緑線のところに表示されている”662.7 per second”にはLife Recovery Rateが含まれていないのでご注意ください。

 

 

さて、リーチキャップの方も計算しておかなければなりませんね。

このビルドでは、

+9% of maximum Life per second to maximum Life Leech rate

を得ています。

 

10,354 [Life] × (0.2 + 0.09) [リーチキャップ] × (1 + 0.2) [Life Recovery Rate] × 2 [Vaal Pact] = 7,206 [Life/秒]

 

このビルドがリーチキャップを最大Lifeの69%まで引き上げていて、秒間7,206Lifeまで回復できることが分かります。

 

リーチキャップに到達するまでに必要なリーチインスタンスの数は

 

7,206 [Life/秒] ÷ 794 [Life/秒] = 9.075… ≒ 9 [個]

 

9個となります。

 

 

さて、今回は具体的にShaperを相手にする(≒ 単体の敵を相手にする ≒ 1Attackで1Hitしか発生しない)と想定してみましょう。

Alkaizerのビルドが特に優れている点はAPS(秒間攻撃回数)の高さです。

 

 

命中率は88%であるものの、秒間12.03回の攻撃を行えるため、

 

9 [リーチキャップに必要なリーチインスタンスの数] ÷ 12.03 [APS] ÷ 0.88 [命中率] = 0.85014… [秒]

 

攻撃を開始してからわずか0.85秒でリーチキャップに到達します。

 

 

ここからは1つの捉え方になりますが、リーチインスタンスが11秒間持続することを考えると、

 

0.85 [リーチキャップに到達するのに要する時間(秒)] ÷ 11 [リーチインスタンスの持続時間(秒)] × 100 [百分率] = 7.727… [%]

 

少し乱暴な言い方をするなら、戦闘時間のおよそ8%の時間だけ攻撃ができればリーチキャップ相当の回復力を維持したまま戦えるビルドであることが分かります。

かなり余裕をもって秒間7,206Lifeの回復力を保ちながら戦っている姿が容易に想像できますよね。

 


私自身が近々リーチを活用したビルドで遊んでみようと思ったので取り上げてみました。

計算ミスや間違えがあったらご指摘ください。

 

PoEのリーチがよく分からないプレイヤーの助けになれば幸いです。


[上級者ガイド] Leechの仕様と計算式を知ろう” への12件のコメント

  1. 今期scionちゃんでオーバーリーチを使ったbuildやってたんですが

    上記に加えSoul of Arakaali取得、連続被弾対策にCWDT+Bloodrage+ICとAcro二種で
    UberElderですらLifeフラスコ一切不要でした…。

    Might of the Meek*2個+Unnatural Instinctの凶悪JewelでLifeマシマシ+αの効果が
    得やすいscionちゃん大人気に!?

    1. UberElderを楽々に倒せるのは羨ましい限りです。
      Unnatural Instinctの登場によってScionがかなりの強クラスになったと個人的には思っています。
      もちろん色々と高額アイテムが必要なので、やり込めるプレイヤーにとってのお話ですが。

  2. うーん、素晴らしい記事。
    今まで何となくでやっていたことが、こちらを読んで整理できました。さっそくscionちゃんをオーバーリーチタンクに変身させよう。

  3. リーチを活かしたビルド・・・
    スレイヤーと見せかけてこの間時代遅れと言っていたバーサーカーの左上を取っていくと見ました!

コメントはこちらから